肥満遺伝子とは?
肥満遺伝子の研究
肥満遺伝子とは、1994年に発表された遺伝子です。
肥満遺伝子とは肥満の原因になる遺伝子と考えられがちですが、体重をコントロールし、肥満を防ぐ遺伝子です
1950年代、肥満に関する研究者たちは、同じ餌を与えても、ある種類のマウスは異常に肥満することを発見していました。 そしてその原因は、遺伝的要因、つまり遺伝子の違いにあるということを明らかにしました。
さらに研究は進み、その違いというのが、ある遺伝子(ここではob遺伝子)が有無であることが分かりました。そしてob遺伝子 (肥満遺伝子) の産物が「レプチン」と呼ばれるホルモンです。
レプチンの役割
普通、人間や動物は、身体に充分な量の脂肪を蓄えていると自然と食べる量を減らし、脂肪が蓄積することを防ぎます。 反対に体脂肪が少ないと、エネルギー不足を感じ、食べる量を増やそうとします。これは人間や動物が体重を一定に保とうという、 自然のメカニズムです。
そのメカニズムの原因として、レプチンが大きな役割を担っています。
レプチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンです。そして、脳がレプチンをキャッチすると、満腹中枢が刺激され、食欲が低下します。
体脂肪が蓄積し脂肪細胞が大きくなるとレプチンは血液中に大量に流れます。そうすると満腹感を感じやすくなり、
自然と食欲が減るのです。
ところが、ob遺伝子(肥満遺伝子)が欠損したマウスでは、このレプチンが分泌されないために、食欲が低下せず、 肥満してしまうのです。
さらに人間についても調べたところ、ob遺伝子が変異している人たちも見つかりました。しかし、 人間ではこの肥満遺伝子の変異が肥満の原因となっているケースはわずかであり、 他の遺伝子の変異やその他さまざまな原因によって生じることも、のちの研究でわかってきました。